学生時代の自分に何か一つだけ力を与えられるとしたら?
私にとってその質問の答えは間違いなく、毎日努力を積み重ねる方法を身につけることです。
良い参考書や勉強法などは今の時代、探せば簡単に手に入ります。
しかしそれは毎日その方法を続けられるという前提の上に成り立つもの。
その前提を満たすには、つまり毎日頑張るためにはどうしたらよいのだろう?
ずっとそのことに悩み続けてきました。
毎日頑張れればTOEICで900点取れる、楽器も弾けるようになる、ダイエットも成功させられる。
受験の後もその「続けること」に対する悩みは続き、習慣を身につけるための本をいろいろ読みました。
ですがどれもズバッと悩みを解決してくれるような、私にとって実際に続けられる方法を示してはくれなかったのです。
そんなある日、私は以前からやりたいと思っていた鬼速PDCAという本に取り組んでみようとふと思い立ちました。
PDCAというのは簡単に言ってしまうと、予定を立てて実際にこなし改善をする、そのサイクルを回すということです。
ビジネスでよく使われるのですが、これってかなり勉強にも通じるものがありますよね。
本に書かれていた内容は効果がありそうなのは分かっていました。
というか、良い本というのはだいたい続けられたら成果が出るようなことが書いてあります。
ですが実際にやるとなると、その「続ける」という壁は私の前にあまりにも強烈に立ちふさがるのです。
いつも通り三日坊主で終わりそうだな……。
そんなときにどういうわけか、頭の上に電球が灯るように、ピコーンと閃いたのです。
とりあえず絶対出来るレベルまで落としてやってみたらどうだろう?
そして、やってみるとこれがまさに続けるコツの極意だということに気づいたのです。
今日はそんな、頑張らなくても毎日続けるための方法についてまとめます。
- 続けるコツ1:シンプルにノートを取る
- 続けるコツ2:1日1つ、10秒から具体的に始める
- 続けるコツ3:まずは半年かけて続ける習慣を作る
- 勉強をさらに加速させる、勉強以外に取り入れるべき10の習慣
- それでも続けられない時は?
続けるコツ1:シンプルにノートを取る
続けるコツを3つに分けるとしたら1つ目は確実に、
やったことをノートに書く
ということになるでしょう。
それだけ?
と思うかもしれませんが、これが圧倒的に効果があります。
スマホのアプリや、パソコンのメモ帳など他にも記録をつける方法はあります。
ですが圧倒的に紙のノートに書くのが続ける力を身につけるには効果的です。
これについては実際に研究があります。
ノートに講義の内容を自分で手書きした場合と、パソコンに打ち込んだ場合では明らかに手書きした場合の方が試験の成績が良かったというのです。
この研究では結果の理由について、手書きをするためには一度自分の中で聞いた内容を別の形に置き換えるプロセスを踏むため、聞いた内容をそのまま書き写すよりも理解力が深まるということを上げていました。
ノートを取り始めると初日は家族に、
「何をやっているんだ?」
という視線で見られました。
(ダイエットのために食事内容を記録しようとしたためです)
自分としても気恥ずかしさもありますし、どこに行くにもノートを持ち歩くのは面倒だとも最初は感じました。
しかし1ヶ月以上以上が経過すると、周りにいる人は気にしなくなりますし、自分も気にならなくなります。
というよりも、むしろスマホでゲームや友達とのLineをするときのようにある種の中毒のような状況になっていきます。
それまではあれほど続けることができなかったのに、喜々としてノートにやったことを書き込んでいくようになったのです。
メモすることの一つ一つは大した量はありません。
せいぜい、
やったことの名称
やると決めた時間や回数
実際にやってちょっと気になったこと
で合計1行から3行程度です。
最近ではそれをやった時間帯も横に書くようになりました。
ですが最初は本当に1行だけで良いのです。
むしろ、どんなことがあっても絶対に続けられるという量から書いていくのが成功の秘訣です。
この、やることをシンプルにノートに書くのを始めてから明らかに日々の生活に充実感を覚えるようになりました。
具体的には、ノートに書き込んでいくことで
毎日少しずつ自分が努力を積み重ねているという実感
目標に近づいているという感触
苦手なものでも続けられるという自信
がゲームでモンスターを倒したときに手に入る経験値のように溜まっていく感覚があるのです。
使っているノートは5冊で300円程度の安いもの。
書く道具は普段使っているシャーペン。
あとは時間を計るのにスマホのタイマーを毎日20回以上使うようになったくらい。
お金もほとんどかかっていません。
これは大げさに聞こえるかもしれませんが、明らかにノートを取り始めた日から数日して人生が変わったという確信めいたものを感じはじめるようになりました。
勉強を続けるようになりたい。
そう思う人はぜひシンプルにノートを取り始めることから始めてみて下さい。
続けるコツ2:1日1つ、10秒から具体的に始める
続けるコツの2つ目は、絶対に出来るという量から少しずつ始めるということです。
例えば私の場合、筋トレを休まず続けられるようになりましたが、初日はなんと1回から始めています。
筋トレは、腕立て→腹筋・背筋→スクワットを3日でローテーションし、1周するごとに(つまり3日)プラス1回ずつするようにしました。
1ヶ月で1日10回になり、2ヶ月で20回になってもめちゃくちゃ大変だという感じはしませんでした。
他にも読書や英語の勉強は10秒とか30秒とかから始めていて、やる内容によって毎日10秒ずつ増やしたり5秒ずつ増やしたりものによっては1秒ずつ増やしたりと増やし方も様々です。
時間でカウントするか回数やページ数などの量でカウントするかは、実際にやってみて変えることもあります。
やってみて大事だなと感じるのは、
勉強なら使う参考書など、完全にやることを具体的にする
量は1回とか10秒とか、これでもかというくらい少なくして始める
他の習慣の本に書いてあるのとは違って、身につくまで1つのことを続けるのではなくどんどん始めていって良い
ということです。
特に3つ目がこの、超少量から始めることのメリットです。
受験など締め切りがあるものが目標だと、この少量から始めるやり方だと間に合わない可能性があります。
ですが、複数の勉強する習慣をどんどん増やしていくことで、むしろ分野別にやることがハッキリして抜けがなくなり弱点のカバーに繋がります。
例えば受験英語なら、
英単語
英文解釈
文法
リスニング対策の音読
リスニング・センター対策の発音
センター対策の文法問題
センター特有の長文でも文法でもない問題
センターの長文
二次試験の英作文
二次試験の長文
など、パッと思いついただけでもかなり分けることができます。
始めた時は例えば1分だったとしても、毎日30秒ずつ増やしていったら2ヶ月で30分になります。
そして一つ一つは30分でもこれだけの数が集まればかなりの勉強量になることは間違いありません。
あるいは、一つだけを集中して取り組みたい時は参考書のページを分割して複数を同時に走らせるという方法も考えられます。
300ページある本なら、50ページずつで6個に分けるとか、章ごとに分けるとかですね。
それを1日に複数回別のこととしてやるのです。
この場合だと物凄いスピードで勉強が進みます。
ただ、一度に一気に進めるものは1つまでにしておいた方が良いと実際にやってみて感じています。
このように、やることがハッキリしている利点は大きいです。
もうやらなくていい得意なことは量を減らしたり、もっと頑張りたい苦手なことをやる時間を2つに増やしたりすれば良いのです。
短い時間でやることが具体的だからこそ、漫然と何となく勉強するよりも圧倒的に効率良く学ぶことが出来るのです。
続けるコツ3:まずは半年かけて続ける習慣を作る
コツの3つ目は、少量から始めたことを半年かけて目標の量まで増やしていくということです。
もちろん受験などでは残り時間によって毎日増やす量を逆算して増やさなければいけません。
ですが原則的にこの1日に増やす量が急であればあるほど負荷がかかり、失敗する可能性が高いというのがやってみて感じている正直なところです。
勉強だと頑張れば10時間でも12時間でもやれるはず、みたいな風潮があります。
ですがこれがスポーツなら筋力や心肺能力が鍛えられて初めて長時間の、あるいは負荷の高いトレーニングが可能になるのは想像に難くありません。
私は長期間で少しずつ勉強量を増やすことは、脳がストレスに対してどれくらい耐えられるかの認識を変えるトレーニングなのだと考えています。
かけ算九九を覚えた時、最初は教科書を見たり頭で考えないとできなかったと思いますが、慣れると考えるというより反射で答えが出てくるようになりましたよね?
これと同じように、トレーニングで「続ける力」自体を意識して努力せずに使える状態まで鍛えているのだと考えてみて下さい。
一見遠まりに見えるかもしれませんが、この「続ける力」は自分のものにしてしまえば何をやるか中身は自由に変えることができます。
勉強だけでなく、仕事や趣味など何にでも応用が効くのです。
実際にやってみて「続ける力」を鍛える上で重要だと感じたのは、
やること一つに対してのとりあえず量の上限値を決めてしまう
直接やりたいこととは関係ない習慣も増やして全体の効率を上げる
休みの日でもこれだけはやる、という量の下限値を決めておく
という3つです。
一つ一つ見ていきましょう。
まずやることの上限値というのは、ごく簡単な量から始めて少しずつ増やすけれど、増やしきった後の最大値には限界を決めておくということです。
1日の時間には限りがありますし、集中力も鍛えられたとしてもそれほど長くは持ちません。
筋トレなら例えば1日20回を3セットとか、勉強なら1つの項目は30分まで、とか決めてしまうと気持ちも楽になって結果的に続けやすくなります。
これ以上増やしたい場合は、同じ項目を2回に増やしたりより細かく分解することで対応するとよいでしょう。
もちろん、当初立てた予定よりも実際やってみて楽だと感じたら上限値を増やしても問題ありません。
大事なのはあくまで続けられる範囲でやるということです。
直接関係ない習慣も増やす、というのは一見遠回りに感じるかもしれません。
ですが実際には勉強が勉強方法より続けることの方が大事であるなど、必ずそれ自体以外にも関係のある他の要素があるのです。
分かりやすいところでは体調管理ですね。
どんなに勉強を頑張っても本番に力を出せなければ意味はありません。
これについては後の項目でまとめます。
参考にしてみて下さい。
最後、休みの日でもやる下限の量を決めるということ。
習慣が毎日続くものであれば、あるいは受験など長期間に渡って続ける必要があるものに対して、常にアクセル全開で頑張り続けるとどこかで限界が来ます。
ここで重要なのは、休息を取ることもまた努力の内だということに気づくこと。
そのためには良い休息を取ることを考えなければいけません。
良い休息とは、休んでいることに罪悪感など余計なことを感じずにしっかりとストレスと発散し精神的・体力的に自分の一番良い状態まで回復することであります。
具体的には、
休みを取るときでも復習を1分だけはやるなどルールを作る
休みを取る時は体調不良以外は突発的ではなく、予定を立てて取る
という2点が重要です。
1週間に半日とか1日休みを取るとしたら、6日分を復習すれば良いわけです。
最終的に毎日やることの数は20~30くらい、多くても50以下になると思います。
それぞれの科目のノートを復習するとかなり時間がかかりますが、コツ1では話した続けるノートにまとめた分を確認するだけなら30分程度で終わります。
予定通りに動くことで、自分できちんとコントロールしているという実感がわきます。
これによって余計なことを考えずにしっかりオンとオフの切り替えが出来るのです。
そういうわけで、休みの日でしっかりとリフレッシュするためにも続けるノートにシンプルに記録を取るのは有効なのです。
勉強をさらに加速させる、勉強以外に取り入れるべき10の習慣
ここでは勉強とは一見直接は関係ないけれど効率化のためにぜひ取り入れたい習慣を紹介します。
寝る時間の固定
徹夜や睡眠不足は注意不足を招き、作業効率を下げることが研究で明らかになっています。
効率良く勉強を進めるためにも、7時間は睡眠時間を確保すると良いです。
簡単な運動
最大でも1日5分程度の筋トレや勉強の合間に散歩をする程度で構いません。
身体を動かすことは免疫力の維持に繋がり体調を崩しにくくなりますし、血流が良くなって集中力を維持しやすくなります。
食事内容のメモ
特にお昼過ぎに強烈な眠気に襲われる人は、勉強に集中するためにお昼に取る炭水化物の量を減らすと良いです。
午後の強烈な眠気は血糖値の変化によるものである可能性が高いのです。
速読を目的とした読書の訓練
勉強以前に勉強に関係のある部分で差がついているのが読書の経験です。
本を読んでも読解力が必ずしも上がるわけではありませんが、語彙力と読む速度は読書量にかなり比例します。
普通の人が1分間に500文字、東大生が1分間に1500文字読むというのは、分かりやすい差ではないでしょうか。
時間を計測して読むことが文章を速く読むための第一歩です。
復習
これは各教科をバッチリ昨日やった分確認するのではなく、続けるノートに書いたことを読んでだいたいこんなことをやったという程度でOKです。
これにより、記憶力そのものが鍛えられて勉強の効率がアップします。
朝と夜に3分程度でやる習慣をつけると良いでしょう。
瞑想
一見うさんくさく感じるかもしれませんが、集中力を鍛えるトレーニングだと思って下さい。
また、自分を客観的に見つめられることが出来るようになると、それまで苦手だった教科に対する感じ方が変化して思わぬ成長をすることがあります。
私は1分から始めて毎日1秒ずつ5分まで伸ばしているところです。
何気にかなり効果があると思います。
掃除
毎日いらないものを1個だけ片付ける、5分だけ部屋をキレイにするくらいの掃除はオススメです。
必要なものがどこにあるのか探す時間が省けたり、集中力アップにつながります。
目標から逆算した目標の設定
例えば、200点満点の英語の点数を6ヶ月で120点から180点まで上げたいとしましょう。
1ヶ月で10点上げるにはどうしたら良いのか?
1週間で2.5点上げるにはどうしたら良いのか?
1日で0.5点上げるにはどうしたら良いのか?
ここまで分解すると、たぶん今日はこれを頑張れば良いということがはっきりしてきます。
すると押さえるべきポイントが見えやすくなり、記憶にも残りやすく、結果が出やすくなります。
世の中には様々な勉強法がありますが、自分に必要なものはどれかを見極めるということも大切です。
目標の確認・設定を繰り返すことで実際の勉強以前に影響する部分をカバーできるのです。
趣味の時間
意外に思うかもしれませんが、長期間続ける前提だとストレスの管理は重要な課題。
なら自分の好きなことをあらかじめ習慣に組み込んでしまいましょう。
コツとしては、新しいことに取り組むよりも既に気に入っているものを選んで時間や止め時がハッキリするように設定することです。
漫画を1話ずつ読み返す、動画を1本見る、音楽を1曲聞くといった物がおすすめです。
どうしても新しく始めたいことがある場合は、休みに設定した日に集中して行うと良いでしょう。
1分間メモを取る
1分間、自分が不安に感じたり興味があるテーマについてアイデアや思ったことを書き続けるというものです。
これはストレスを軽減したり、本番で力を発揮するメンタル面でのトレーニングにつながります。
元ネタはこちらの本です。
非常にやることがシンプルで習慣にも取り入れたい内容になっています。
それでも続けられない時は?
いろいろと紹介してきましたが、ここまでやっても続かないものに出くわすこともあります。
大きく失敗の理由は3パターンにわけられるので解説します。
トラウマのためハードルが高くなっている
ものすごく強烈な苦手意識があるものに対しては、他の人よりもハードルが高く感じることがあります。
例えば私の場合、それは絵を描くことでした。
これには攻略法が2つあります。
1つ目は、人の力を借りたりして短期間の集中的トレーニングで克服する。
2つ目は、さらにハードルを極限まで下げる。
1つ目は思い切って20時間だけ頑張ってみるか、お金を払って何らかのサービスを利用するパターンです。
大人の家庭教師やオンラインスクールなどを短期間で利用すると良いでしょう。
20時間だけ頑張るパターンは以下の本を参照にどうぞ。
読んでいて非常にワクワクする本です。
実際に私はこのブログで絵の練習をしてトラウマを克服しています。
図工が大嫌いだったオタクが20時間だけ絵を練習したら涙が出た - 凡才ですから
2つ目はシンプルで絵を描くなら線を1本描くことから始めるとか、そのレベルまで落とすことです。
上手い下手はとりあえず置いておいて、絶対に出来ることから始めることで、脳の認識を変化させることが狙いです。
オンラインレッスンは今後もっと増えていって欲しいジャンルですね。
体力的に取り組むだけの集中力が残っていない
人間である以上、体力には限界があります。
毎日4時間しか眠らず14時間働いていたら、たとえ1分でも何かをすることができないのは普通です。
その場合はまずは新しいことを始めるより、生活を立て直すことを考えて下さい。
自分の努力だけではどうにもならないこともあります。
ときには逃げることも正しい選択なのです。
もし、仕事や家庭にそれほど問題がないのであればトラウマがあることのように極限までハードルを下げて取り組むことから始めるのをオススメします。
モチベーション作りから始める
たとえ小さいことでも何かを始めるにはエネルギーが必要です。
上手く続けられない時は、自分が本当にそれをやりたいのか?
ということを問いなしてみるとよいでしょう。
実はもっと優先するべきことがあることも少なくありません。
もしやりたいことが分からなかったり、どうしてもやる気が出ない時はそれについて調べることを習慣に始めると良いでしょう。
やりたいことがはっきりすることで、続ける力は本当の威力を発揮します。
ぜひ「続ける力」を身に着けて目標を達成する第一歩を踏み出しましょう!
最後に頑張るコツを身につける上で実際に読んで「これは」と思った本を紹介します。
記録を取るノートは最終的にこのPDCAを回せる形が目標になると思います。
考えることが多いので、まずは無理せずシンプルに始めましょう。
仕事術に関する部分が多いですが、習慣を身につける上で役に立つtipsがたくさん詰め込まれています。
トラウマの克服に関してはこの本が非常に役に立ちました。
タイプ別に分けてどんな風にしたら習慣を身に着けやすいかが書かれています。