どうも、タイヘイです。
久しぶりにドラクエ3をプレイしています。
もう何回目のプレイになるかわからないけどやっぱり名作です。何度やってもとてもおもしろい。
もちろん大まかなストーリーは変わりません。
仲間をそろえてレベルを上げて、鍵や船をゲットして、オーブを手に入れて魔王を倒すのは同じ。
とはいっても勇者たちの旅の内容は毎回少しずつ違います。
パーティの職業を入れ替えたり、蘇生禁止(やられたキャラは酒場いき)とか、お金を使用できないプレイなど、3週目くらいから飽きがこないように少しずついろんな縛りを試しています。
ドラクエに限らずいろんなゲームをしていて見えてきたのは、
面白いゲームは現実の要素を何らかの形でシステムに落とし込んでいるということ。
ドラクエ3では特に「転職」という面白いシステムがあり、これは同じドラクエシリーズでも6や7と異なり「転職」後はレベルが1に戻るという特徴があります。
一方で現実では最初の会社で5年は頑張れとか、いや今の時代は3年で十分とか、もっと短くてもいいんじゃないかとかいろんな声がありますよね。
難しい「転職」のタイミング。
でも、ちょっと待てよ?
ゲームが現実を反映させているなら、逆にシンプルに整えられたゲームのシステムから現実を考える助けになるのではないか?
そんな風に思ったので今日は「転職」のタイミングをドラクエ3に当てはめて考え直してみようと思います。
レベル20で1人前 レベル40で魔王を倒せる
ドラクエでキャラの強さを計る基準になるのがレベル。
モンスターを倒して経験値を得ることでレベルは上昇し、能力値が増えたり新しい呪文を覚えたりしてキャラクターは少しずつ強くなっていきます。
そしてドラクエ3においては「転職」するにはレベルが20以上なければいけません。
これは現実に当てはめるとどれくらいのことなんでしょうか?
レベル20というのはドラクエ3の世界で、
その職業として見習いではなく一人前とみなされるレベルです。
とは言っても流石にこれだけで考えるのはちょっと難しい。
なので、もう2つの基準と比べることでもっと現実との比較をしやすくします。
1つの基準はレベル40。
これは3に限らず多くのドラクエで魔王を倒すのが不可能ではない(=クリアできる)くらいのレベルです。
もちろん魔法やアイテムの使い方でもっと低いレベルでクリアしたり、逆に効率が悪くてもっとレベルが必要になったりはプレイヤー次第です。
ですがおおよそレベル40前後をクリアの目安としてドラクエはゲームバランスを構築しているとシリーズをプレイしている身としては感じています。
そして2つ目の基準。こちらはレベルの限界の99です。
ドラクエでは3の転職でレベルを1に戻すような特殊な例外を除いて人間キャラはレベルが99で止まるようになっています(仲間モンスターなどは異なる場合もある)。
そうは言っても9以降のオンライン要素が入ってきた作品でなければクリア後の隠しダンジョンや裏ボスを含めてもここまでのレベルは必要ありません。
そういう意味でも全キャラを最強にするとかのやりこみ以外でここまで達した人はいないと考えて良いでしょう。
プレイが非効率的でもレベル50もあれば確実にクリアはできます。
そう考えるとレベル99というのはその倍にあたり、めちゃくちゃ高いというのがお分かりになると思います。
3つも基準があるとぼんやりドラクエのレベルが現実だとどれくらいなのかが見えてきます。
この20、40、99という3つのレベルを現実に無理やり当てはめると
20:仕事で新人ではなくなったレベル
40:その業界でどこにいっても活躍出来るレベル
99:世界最高の技術を持っているレベル
くらいになるのではないでしょうか?
あとは未経験・新卒(=レベル1)からレベル20とか40になるにはどれくらいの時間がかかるのかを考えていけば良さそうです。
リアルでの変化はIT&効率化と労働時間の増加
ドラクエではどんなに弱いモンスターを倒し続けても少しずつ経験値が溜まっていき、いつかはレベルを上げることができます。
しかしこれは現実だとあんまり当てはまらなそうですよね。
もちろん同じ作業でも経験が増えることで見えてくるものがあると思いますが、おそらくそれは冒頭で話したように何らかの「縛りプレイ」をしています。
コンビニのアルバイトなどはやることが決まっていますが、レジを打つスピード以外でもその気になれば表情とか声のかけ方を工夫することができます。
実際、僕は学生時代にコンビニでアルバイトしていた頃に、声かけでおそらく本来お客さんが買うつもりじゃなかっただろうおでんとかを売ったことがあるのです。
でもこれ、やっぱり縛りプレイの一種ですよ。
本来使わなくても良い体力を余分に使ってましたもの。
職ではなくスキルで見ると、プログラミングでも1時間でテトリスを作る動画などが公開されていたりしますが、タイムアタックをしているのでこれも縛りプレイです。
ゲームの話に戻りますが敵とのレベルが離れすぎていると経験値がもらえなかったり強くなれないシステムを導入している作品もあります。
そういう点からも経験値というシステムは完全ではありません。
ですがやはり大雑把に考えるとだいたい現実を反映しているとも思うのです。
そう考えると、経験値=仕事に取り組んだ時間(勤務年数)がやはり一番しっくりくるのではないでしょうか?
ただ、ここから深く考えていくことが難しい。
10年20年前は最初の会社は5年続けろと言っていたように思いますし、最近は3年くらい続けろ派が主流で、1年とか2年でも良いよという人も増えているように思うのです。
もちろんすべての職や会社に当てはまる完璧な正解があるわけではないと思うのですが、8割くらい当たっているおおよその傾向はあると感じています。
そうなったとき、このどれくらいは同じ会社にいるべきかという主張の変化には2つの要因があるのではないかという仮説を立てました。
1つ目はITの普及と効率化です。
僕が子供の頃よりパソコンが普及して文章の作成などは目に見えて楽になりました。
ちょっとした調べ物も検索すれば概要を知れたり参考文献を見つけることは容易いです。
主に本来仕事の成果とは直接の関係がない事務作業の手間はこれでかなり減ったように思います。
年2000時間働いていたとして、昔は600時間事務作業にかけていたのが200時間がまで減っていたとします。
この場合、仕事の成果に繋がる部分(=経験値を得られ部分)は昔なら5年かかっていたものが3年半くらいで得られるくらいまで圧縮されているのではないでしょうか?
またメールやオンライン会議などの通信技術も発達しましたし、実店舗を持たない小売業の形態も普及するなど、事務作業以外で見ても仕事が効率化されているように思います。
そういった点も合わせると仕事の核になるスキルを使う(=鍛えられる)時間が増え、かつて5年必要だったレベルに達するのに今では3年くらいで到達出来るようになったのではないでしょうか。
2つ目は非正規雇用が増えたこととそれによる一人あたりの仕事量の増加です。
1990年に881万人だった非正規雇用労働者は2014年に1962万人まで増加しました(以下のリンク参照)。
もちろんこの中には専業主婦だった人が夫の賃金が下がってパートに出たり、高齢化で定年後にシルバー人材で働く人も入っています。
しかし正社員になりたい人の割合も増えている(厚生労働省の資料)ことを考えると不本意で非正規雇用労働をしている人も増加していると考えて良いでしょう。
ここからさらに導き出されるのが1人あたりの仕事量の増加です。
非正規雇用労働者が増えたことで全体の労働時間は減っているのですが、内閣府の資料を見ると正規雇用労働者の労働時間はむしろ増えています(労働時間が大きく減った2009年ごろはサブプライムローンを発端とした世界的な不況の影響です。不況で物が売れず、結果生産する数も抑えられて製造業などで工場の稼働時間が減少していたことなどが考えられます)。
労働時間が増えるということは以前よりも受け持つ仕事が増えているということが自然と考えられるのです。
先の資料だと月あたり3~40時間仕事の時間が増えています。
年間だと300~500時間といったところでしょうか。
最近だと残業時間を60時間を平均、100時間を限度にするよう国は動いています。
僕の実感だと20時間未満はかなりホワイトで、20~60でばらつきがあって平均40時間(1日2時間くらいまで)が普通の会社、それ以上は基本的にブラックかなあというところです。
脱線しましたが以前より労働時間が増えた結果、レベルが上がる(=スキルを獲得する)のにかかるのは勤務年数で見ると短くなっているということが考えられるのではないでしょうか。
合わせて考えると、
ということですね。
これら2つの要素が重なることで、以前は5年かかっていたレベルに達する(=スキルを獲得する)のにかかる時間が3年程度、業種によってさらに短くなった。
その結果、世間一般でも最初の会社でこれくらいは頑張るべきという年数が短くなったのだと思います。
1万時間の法則と使い勝手の良いレベルに達するポイント
しかしドラクエ的には「転職」できるレベルですぐに「転職」することが必ずしも効率が良いプレイに繋がるわけではありません。
「遊び人」は特殊な職業でレベル20になれば「賢者」になれるので別ですが、「魔法使い」や「僧侶」といった職業はもうちょっとレベルを上げた方が使い勝手が良いのです。
例えばドラクエ3では「魔法使い」は(「賢さ」のステータスにもよりますが)レベル21で仲間の物理攻撃のダメージを2倍にする補助魔法「バイキルト」を、レベル23で敵全体にダメージを与える攻撃魔法「イオラ」を覚えます。
「僧侶」だとレベル30で体力を全快する「ベホマ」を、レベル32でボスが多用する炎や吹雪のダメージを減らす「フバーハ」を覚えます。
レベル20ですぐに「転職」するよりかはもう少し戦略を練ってレベルを上げたほうが「転職」の効率は良いのです。
リアルで考えると実務経歴の期間が資格取得の条件だったり、大きなプロジェクトが終わって経験を積んだり経歴的に評価しやくすなるタイミングなどがこの効率の良いポイントに当たると思います。
「1万時間の法則」という本(あるいは研究)ではスポーツや音楽でトップレベルになるまでに1万時間の訓練が必要とされていますが、これはおそらくドラクエだとレベル40のことでちょっとズレが有るように思います。
もちろん仕事なら5年くらい、プライベートもスキルを磨けば3年くらいで1万時間の訓練をすることはできます。
ですが仕事ではいくらITなどで効率化されていたとしてもプログラミングだけ1万時間とかはなかなかさせてもらえません。
これが叶うのは業種や会社にもよると思いますが事務作業を完全に外注したネット系のフリーランスとか漫画家のようなごく少数の職業ではないでしょうか。
ドラクエなら「魔法使い」と「僧侶」では「魔法使い」の方が早く「転職」しても使い勝手が良いですし、「僧侶」は場合によっては「転職」しない方が良い場合もあります(リアルならお医者さんと考えるとしっくりくるかも)。
逆に「遊び人」はレベル20ですぐに「賢者」に「転職」させるべきだし、「戦士」や「武闘家」などは僕の場合、「賢者」に転職できるアイテムを手に入れたあとで仲間の育ち具合などのバランスを見て「転職」させたりします(リアルなら何か大きな資格を取ったりした場合かな?)。
そう考えると、
いつ「転職」したらいいかに正解なんてないじゃないか!
と言われてしまいそうです……。
それももっともな説ではあります。
ですが、ドラクエ3の「転職」には覚えた「魔法」は別の職業になってレベルが1に戻っても使えるということの他にもう一つ重要なポイントがあるのです。
それは、転職したときの能力値の半分を引き継ぐというもの。
具体例としては、
- レベル1の戦士が旅に出る。「力」の能力値は20。
- レベル20で転職可能になる。「力」の能力値は100。
- 転職してレベル1の「僧侶」になる。「力」は本来15程度のはずだが以前の能力値を引き継いで50。
- 「力」が50というのは「僧侶」のレベル17くらいに匹敵する!
こんな感じです。
これをリアルに当てはめるとプログラミングとかデザインのような特定のスキルではなく、仕事上でのコミュニケーションの取り方とか幅広く使える基本的なPC操作とかタスク管理などのビジネススキルになるのではないでしょうか?
そう考えると、「転職」には大きく2パターンがあって、
- 以前の会社で他の会社が欲しがるようなスキルを身に着けたり経験を積んだ場合に同じ職でステップアップ。もしくは前の業種のスキルや経験を組み合わせることで活かせる別の職への「転職」
- 別にやりたいことがあったり今の会社が労働条件や相性で長くは続けられないと感じた場合、不利にならない経歴づくりや貯金を貯めてからの「転職」
にそれぞれを使いこなせば良いのではないかと思うのです。
前者の場合は3年だと物足りなくて5年から10年くらい、後者の場合だと2年から長くて5年、平均としては3年で「転職」するのが一つの目安になるかと思います。
もちろん、法律に触れるような危険な仕事や労働条件が明らかにおかしい、過労死が見えたりするような場合はそれ以前の判断として命を守るために「ルーラ」で逃げる必要があるのは言うまでもありません。
現実には命を蘇らせる「教会」も「ザオリク」も「世界樹の葉」もないのですから……。
いかがだったでしょうか?
ゲームとリアルは違うけれど、視点を変えてものを見る、考えるというのは案外役に立ちます。
そして「転職」も自分で戦略を立てて挑むのと、そのときの勢いだけで決めてしまうのはかなり違った結果を生むはずです。
より良い選択をするのにちょっと頭を柔らかく・視野を広げるのに今回の「ドラクエと転職」の話が少しでも役に立ったらいいなあと思っています。
ありがとうございました!