『アイデア大全』は体系的にアイデアを生み出す方法をまとめた名著です。
個人の成功例や繋がりのない単発の思考法をまとめた一般のビジネス書とは異なり、その網羅性はビジネス書の歴史を終わらせたと言っても過言ではありません。
ですが、ビジネス書にありがちな最も重要な問題点。
読んだは良いが本当にその本の内容を実行に移すのか?
この課題については未解決のままです。
この壁を越えたのは本当にごく一部で、『ゼロ秒思考』などのやるべきことが単純かつ明確に示された類の本くらい。
ですが、『アイデア大全』はただ読んで満足しただけではもったいない本。
そこで私は考えました。
自分が今、既にできることや興味のあることから出発して、それと本の内容を合わせて使いやすくしてみたらどうだろう?
そんなわけで、今回紹介するのは『アイデア大全』と人気スマホゲーム『Fate/Grand Order』を組み合わせたアイデアを生み出す思考方法です。
- 自分を越える思考法「ルビッチならどうする?」と「ヴァーチャル賢人会議」
- 現実世界での「尊敬する人物」はキャラが薄い
- 英霊=偉人のキャラが立ったFGOの特徴を活かす
- 好きなキャラならどう考えるか?という思考は人生を豊かにしてくれる
自分を越える思考法「ルビッチならどうする?」と「ヴァーチャル賢人会議」
『アイデア大全』はその名の通り、考えに煮詰まった時に役立つ方法を体系的・網羅的に集めた本です。
読み物としても小ネタが多くて非常に面白いのですが、読むだけで終わらせるより実際に使いたい辞書的な名著。
ここ数年、私は普通の本は電子書籍で買うようになりました。
本を頻繁に買うと場所も取りますし、一度大量に処分した際に実は何回も読む本はそれほど多くないと実感したからです。
しかしこの『アイデア大全』と同著者の『問題解決大全』に関しては実用を考えて紙の本を購入しました(装丁も非常に気に入っています)。
実際、困ったことがあったらすぐ使えるように机の上とカバンの中を忙しく往復する日々で、非常に役立っています。紙で買って良かった。
さて、そんな『アイデア大全』ですが収録された方法の数が多いだけに中々手が出ないものも当然出てきます。
今回紹介するのは、「ルビッチならどうする?」と「ヴァーチャル賢人会議」という二つの方法です。
簡単に言ってしまうと、
問題が起きた場合、自分が尊敬する人物・スゴイと思う人物ならどうするか?
と考える方法です。
これは自分の中にある思考の枠組みや常識を越えて、新しい視野や考え方・アイデアをもたらしてくれる方法と言えるでしょう。
『アイデア大全』以外のビジネス書でもよくある方法です。
それだけに効果は保証されていると言って良いと思います。
ただ、実際にこの二つの方法を使おうとするとこれが中々難しい。
そしてその壁を越えて、普段使い出来るツールにするために人気スマホゲーム『Fate/Grand Order』と組み合わせる必要があるのです。
現実世界での「尊敬する人物」はキャラが薄い
学生時代の作文や就職活動時にも「尊敬する人物」について書け、答えろという課題はしばしば出されます。
この場合の答えは主に3パターンに分かれていて、
両親や祖父母など身近な人物
存命の経営者やスポーツ選手、政治家など自分が生きている時代に近い著名人
戦国武将や学者など歴史に名を残す過去の人物
という風に答えることが多いかと思います。
一般的にどれを答えても理由がそれなりのものであれば、プラスにもマイナスにもなりません。
そもそもこういった質問は準備をしっかりしてきているかや、コミュニケーション能力を確かめるもので課題として考えるなら質問自体があまり意味のないものだと私は考えています。
ですが『アイデア大全』にある2つの方法の実用を考えると「見習うべき人間」というのはもう少し掘り下げる価値があります。
改めてパターンごとに考えてみましょう。
両親や祖父母など身近な人物に関しては、
不仲だったり逆に距離が近すぎて参考にしにくい
有名人に比べたら凄さが分かりにくい
そもそも一緒にいる時間が長く、既に十分に影響を受けている
といった風にあまり実用を考えると向いていません。
存命の有名人だと、
自分のその人に対する感情や評価が不祥事などで大きく変化することがある
会えたり話せると距離感が近くなって受け入れやすい
本や動画などで情報が集めやすい
といった感じで悪くはありません。
過去の偉人だと、
歴史に残るだけの人物なら業績は圧倒的なことが多い
著作やその人物に関する本などはそこそこ手に入る。いい部分だけを受け入れやすい
距離感が遠すぎて参考にしようとするとリアリティがない
という感じですね。
とりあえずの実用を考えるなら存命の有名人が良さそうですが、もし過去の偉人との距離感を埋められるならその方が効果は大きそうです。
ここでよくよく考えてみると、この距離感というのはその人物の業績そのものではなく言動や逸話など性格を含んだ個性によるものが大きいのではないか?という仮定が立ちます。
ここで役に立ってくるのが漫画や小説などのコンテンツ。
例えばスティーブ・ジョブズの漫画は非常に読み応えがありますし、坂本龍馬などは司馬遼太郎の著作の影響が非常に大きいというのは想像に難くありません。
じゃあ、歴史上の人物もキャラクターになっていれば身近に感じられるんじゃないか?
そこでキャラが立っているという意味では『Fate』シリーズは非常に優れていて参考になるというのが今回の思考法のキモになります。
英霊=偉人のキャラが立ったFGOの特徴を活かす
Fateシリーズでは過去の偉人が現代に呼ばれて戦うという独特な設定が話の中心にあり、そのキャラクターが魅力的なのが人気の理由の一つです。
特に『Fate/Grand Order』つまりFGOではスマホゲームにふさわしく多くの新キャラが登場しています。
嬉しいのはそれまでアーサー王やヘラクレスなど、戦闘に長けたキャラクターが多かったのが今作ではより幅広く様々なキャラクターが登場するようになったことです。
そんなわけで、これは『アイデア大全』に書かれている方法に使える!
というキャラクターの中でも特にオススメなキャラクターを5組(6人)紹介します。
万能の天才:ダヴィンチちゃんならどうする?
万能の天才と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチを絵画「モナ・リザ」をモチーフにしたのがダヴィンチちゃんです。
物語序盤から終始メインストーリーに絡み、FGOプレイヤーなら必ずそのキャラクターを知ることになります。
発明家として主人公たちのサポートをし、ときには実際に戦闘もしてくれるダヴィンチちゃん。
元ネタとしてもまさに万能の天才。
彼の生きた時代は中世にも関わらずヘリコプターのアイデアを考えついていたり、その発想力は人類の歴史の中でも最上位に位置しています。
ダヴィンチならどうする?
だと何も思いつかないかもしれませんが、
ダヴィンチちゃんならどうする?
ならアイデアが浮かぶこともあるのではないでしょうか。
ただ一つ問題があるとしたら、普段のガチャでは召喚対象ではなく、ピックアップしているときしか使用キャラにできる可能性がないということ。
ゲームのキャラとしては平均的な強さなので、ガチャを引くかどうかには非常に悩むところです。
理想の王:ギルガメッシュ(術)ならどうする?
元々人気の高かったギルガメッシュですが、今回FGOにおいては第七特異点「絶対魔獣戦線:バビロニア」でさらにカッコイイところを見せてくれました。
その姿はまさに理想の王。
ストーリーも非常に良かったのですが、他作品での「慢心せずして、何が王か!」との名言(迷言?)を吹き飛ばす活躍ぶり。
キャスターとして呼び出されたギルガメッシュならぜひ問題を解決してくれるでしょう。
組織のリーダーとしては、カリスマと実行力、そして統率力を併せ持った理想のトップと言えるのではないでしょうか。
もしも人を取りまとめる立場に立ったら、
ギルガメッシュならどうする?
と考えてみると良いかもしれません。
アーチャーのギルガメッシュは最強キャラの1人でピックアップ限定なのですが、キャスターのギルガメッシュは恒常のガチャで出てくる上に最高レアより1つ下なので比較的入手しやすいというのも『アイデア大全』を使う上では嬉しいですね。
仲良く喧嘩する発明家コンビ:ニコラ・テスラとエジソンならどうする?
発明家の偉人の代名詞といえばエジソン。
FGOではエジソンはライオンの頭を持つ見た目で描かれており、非常にユニークなキャラクターです。
ここでエジソンを語る上で欠かせないのがニコラ・テスラの存在。
正直、私はFGOで知るまでニコラ・テスラについては知らなかったのですが彼もまたエジソンに匹敵する非常に優秀なエンジニアでした。
テスラの名前は自動車会社「テスラ」や磁束密度の単位として残っており、これだけでも凄さがわかります。
ですがそれ以上にテスラとエジソンがいなければ今の電気に支えられた文明は、何十年か場合によっては何百年も後のことだったかもしれないと思うと非常に面白いです。
このあたりはFGO作中でも語られているように直流と交流の争いなどとも言われており、二人を語る上では欠かせないエピソードです。
さて、機械工学の分野やプログラミングで困った時、ニコラ・テスラとエジソンならどうする?と考えてみるのは非常に効果がありそうです。
というのも、
エジソンはトライアンドエラーを繰り返して正解を見つけ出す方法を得意とし、
ニコラ・テスラはそんなエジソンをもっと理論的裏付けを重視して手間を減らすべきだと批判していた
からです。
この方法は実はどちらも間違っていません。
エジソンの方法は『アイデア大全』著者の別著作『問題解決大全』で語られている「力まかせ探索」の一種ですし、ニコラ・テスラの思考方法は様々なフレームワークの原典や科学に対するものの見方の前提と言っても良いものです。
ただ、何か解決するべき問題があるときにはその場に応じた使い分けが必要だというだけのこと。
何か困ったことがあったら、自分が行っている方法はテスラ的方法なのかエジソン的方法のどちらなのか?
上手くいかなければもう一方の方法を試してみてはどうか、を考えてみると良いと思います。
狂気と熱意は紙一重:ナイチンゲールならどうする?
もし特定の分野で人並み外れた成果をあげたいと感じていたら、それに最も必要なのは熱意に他なりません。
これに関しては『残酷過ぎる成功法則』でも統計を取って明らかにされており、もはや現代では疑う余地のない事実です。
ですが、普通の人間は行動に移す前にうじうじ悩んだり迷ったりしてしまうもの。
そこで参考になるのがFGOでバーサーカーとして人気の高いナイチンゲール。
医療分野で活躍した人物なのにバーサーカー?
なんとなくおかしいですよね。
彼女の狂気は「人を救うためなら迷わずあらゆる行為を行う」という一点。
ときに作中ではそれが行き過ぎて、「あなたの命を救いたい。あなたの命を奪ってでも――」という矛盾したセリフにも現れたりします。
彼女の真似をする必要はけっしてないのですが、もし心の底から望むものがあったとしたら迷う前に動くというのは実はものすごく大切なのではないでしょうか?
行動の全てを一つの目的のためにその全エネルギーを集中させることができたとしたら、きっとあなたの人生は思った以上の速度で変わっていくはずです。
優れた人物には優れた教師がついている:スカサハならどうする?
最後にあげるのは「師匠・先生ポジション」を代表して人気キャラクターの中でも5人に入るであろうスカサハです。
とにかくもう、キャラクターデザインが一発で分かるくらいに秀逸。
ああ、人気キャラだなというのがひと目で分かるのがスカサハですよね。
もともと『アイデア大全』に収録されている今回紹介した2つの方法に関しては、実在の人物以外にも創作の人物も使えると思っていました。
FGOはそんな創作の中でも多数のジャンルの偉人をそろえており、一つの作品で既に紹介した「万能の天才」「理想のリーダー」「発明家」「狂気にも等しい熱意」など幅広い分野をカバーしています。
悩んだのは「師匠・先生」の立ち位置になるキャラクター。
これは元々他の漫画やアニメだと、『ダイの大冒険』のアバン先生や『スラムダンク』の安西先生、『ハンターハンター』のビスケ、「暗殺教室」の殺せんせーなどが私の中では候補に上がっていました。
Fateシリーズだと少し前にアニメ化したApocryphaのケイローンも良さそうですが残念ながらFGOではまだ未実装。
そこで候補に上がったのがFateシリーズではお馴染みのクー・フーリンの師匠であるスカサハです。
先生・師匠としてはもちろん非常に有能なのですが、彼女が面白いのはその「死ぬことができない」という特殊な属性。
しばしばジョブズが「今日が自分の最後の日だったら何をするか?」と考えていたというのは有名な話ですが、それの裏返しの思考法をスカサハはあなたにもたらしてくれます。
すなわち、「もし永遠に生きられるとしたら、それでも続けよう、やりたいと思えることはなんなのか?」という自問です。
100億円あったら今の仕事は辞める、という人はかなり多いと思います。
そうなってもやろうと思えることがあったら、その時点で人生というのはある意味で成功と言えるのではないでしょうか。
私は無責任に今の仕事を辞めて転職しろ、独立しろと煽るのは嫌いです。
ですが、自分のやりたいことがちゃんと分かっているというのは生きる上では非常に大切だというのもまた事実だと思うのです。
それが仕事にならなくても、趣味だって良い。
ただしっかりと自分の軸を一本持つということの重要性をスカサハは教えてくれます。
好きなキャラならどう考えるか?という思考は人生を豊かにしてくれる
今回紹介してきたのはFGOのキャラクターを利用したものですが、「ルビッチならどうする?」と「バーチャル賢人会議」のどちらもあなたの好きなキャラクターを当てはめることが出来ます。
一見バカバカしいように思えるかもしれませんが、自分のことを少しだけ離れて客観的に見ると思わぬ発見があるものです。
他人のミスや思い違いなどは案外簡単に気づけた、という経験がある人ならお分かりになるのではないでしょうか。
FGOに限らず、自分の好きなコンテンツを上手く使ってアイデアの発掘や問題解決にぜひ役立ててみて下さい。