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炭水化物ダイエットで見過ごされがちな食物繊維の効果のまとめ

いろいろな野菜を集めた写真

 

この記事で分かること

  • 食物繊維の役割
  • 一日に必要な食物繊維
  • 食物繊維の多い食品の特徴

 

あの特徴的なCMで大ヒットしたライザップ登場以降、炭水化物ダイエット(糖質制限)と筋トレの人気は一気に高まりました。

 

しかし2ヶ月で30万円を超える金額にはなかなか手がでない……。

 

そんな人は自分で本を読んだり動画を見たりして情報を集めて自分なりに炭水化物ダイエットに取り組むことも多いかと思いのではないでしょうか。私にも覚えがあります。

 

 

でも、自分で集めた情報だと意外と抜けがあったり細かい情報が不足していることが多かったりするんですよね。

 

例えば大きな勘違いとして実は、糖質制限=炭水化物を取らないこと、ではないのです。

 

炭水化物=糖質+食物繊維

 

という式の通り、炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものです。

 

つまり、糖質ではなく炭水化物を制限すると食物繊維が不足してしまうということ!

 

この記事ではそんな勘違いしがちな、食物繊維の役割について解説していきます。

 

読むのが面倒な人のためのまとめ

  • ダイエットに効果的だが日本人には不足
  • 男性は20g女性は18gの摂取が必要
  • 精製、加工されていない食品に多く含んでいることが多い

 

食物繊維の役割

腸内環境を整える

食物繊維は腸内環境を整えてくれます。

便秘の改善に良いことは多くの人が知っているかもしれませんね。

 

でもそもそも腸内環境ってよく考えたことないけど、きちんと科学的に説明できるものなの?

という疑問もあるかと思います。

 

人間の身体の中には数え切れないほどの細菌がいます。

 

菌というと特に皮膚の表面、歯の間、そして腸にいるイメージが強いですね。

 

この菌は人間にとって良い作用をもたらす善玉菌、悪い作用をもたらす悪玉菌、そして状況に応じて役割が変わる日和見菌に分けられます。

 

悪玉菌はわかりやすいですよね、肌ならニキビや水虫、歯なら虫歯といった症状を引き起こします。

 

一方で善玉菌は肌荒れを防いだり、便秘を防いだりとちょっと地味な感じ……。

 

ですが実は栄養素の合成を助けたり、消化吸収の補助をしたりと目に見えない部分で重要な役目を果たしているのです。

 

糖質制限炭水化物ダイエットを始めとして特定の食べ物を制限する食事では、行き過ぎると栄養が偏ることがあります。

 

特に普段からどちらかというと便秘気味の人は意識して食物繊維を取ることを心がけると良いでしょう。

 

血糖値の急激な上昇を防ぐ

炭水化物ダイエットの主な目的の一つに、急激な血糖値の上昇を起こさないことがあげられます。

 

血糖値が急激に上がるとそれを下げるためにインスリンが分泌される。

インスリンが増えると脂肪を溜め込みやすくなる。

だからダイエットのためには血糖値の上昇を抑える必要があるという理屈ですね。

 

食物繊維を取るとそんな血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

結果として脂肪・脂質を溜め込みにくくなりダイエットに効果的、というわけですね。

 

ではそのメカニズムは?

 

簡単に言うと、食物繊維は消化されにくい物質で一部は非常に粘り気があります。

この粘り気がサラサラして吸収されやすい糖質をコーティングし、消化吸収のペースを抑えるイメージです。

これによって血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンが分泌されにくいようにするわけですね。

 

 

ここで重要なのは、消化吸収のペースが抑えられるということは腹持ちが良くなるということ。

 

そもそも空腹になりにくくなれば、お菓子を食べたり食事のときにドカ食いする危険性も減るのでダイエットに向いているというわけですね。

 

 

噛みごたえがあり満腹感を得やすい

また、体内では非常に粘り気のある食物繊維ですが、口に入れた段階でも糖質とは食感が全く異なります。

 

糖質は柔らかいものが多く、食物繊維は固いものが多いのです。

 

例えばラーメンの麺とか、スープと一緒だとあまり噛まなくてもサラサラッと飲み込めてしまいますよね?

 

一方で鍋で野菜を入れるとおつゆと一緒でも飲み込むのってちょっと難しいとは思いませんか?

 

食物繊維が多い食べ物は例えばブロッコリーごぼうきのこくりなど。

 

どれもちょっと食べごたえがあるものばかりですよね。

 

良く噛むと脳の働きが刺激され、神経ヒスタミンという物質の量が増えます。

そしてよく言われる満腹中枢が刺激され、食欲を抑えるレプチンが分泌されます。

これがもう満腹だという信号になり、食欲が抑えられるのです。

 

 

同じ量の食事を取っても、食物繊維が少ないと満腹になりにくくつい食べすぎてしまう。

一方で食物繊維が多ければ満足感があり食べすぎを起こしにくい。

 

こうして見ると、食物繊維は健康的なダイエットにピッタリだということが分かるのではないでしょうか。

 

 

 

一日に必要な食物繊維

男性は20g、女性は18g

厚生労働省の調査によると、最近の食物繊維の一日の平均的な摂取量は14g程度だそうです。

 

これに対して摂取の目標とされる量は男性が20g女性が18gでどちらも足りていません。

 

また、研究によると24g以上の摂取で病気のリスクが下がる可能性が示されています。

 

ちなみに食物繊維に関しては、科学的に無理やり大量に含んだ食品を作ってそれを摂取しない限りは取りすぎは事実上ありえないということです。

 

水溶性・不溶性は気にしなくて大丈夫

食物繊維には水に溶けやすい種類のものと溶けにくい種類のものがあります(水溶性不溶性)。

 

一般的な表示ではこれらを合わせた数値を食物繊維の値として出しています。

(そもそも食物繊維の数値を表示せず、糖質と合わせて炭水化物として表記している食品も数多くあります)

 

割合でいうと、ほとんどの食物繊維が多い食品は水に溶けにくい不溶性のものを多く含んでいます。

 

ですが、食物繊維を多く含んでいる食品であれば水に溶けやすい水溶性の食物繊維もほとんどがきちんと含んでいますのであまり気にする必要はありません

 

今の食生活に1~2品の食物繊維が多い食品を取り入れよう

目標となる摂取量に少し余裕を持って、一日の食事の中で2品の食物繊維が多い食品を取り入れると良いでしょう。

 

一品あたりの食物繊維の量は豊富だとされているものでも2~3g程度が多いです。

これではちょっとしたサラダや果物だと1品では不足分から目標量までの差を埋められないことが多いからです(男性6g、女性4gの不足)。

 

おすすめは3食の中で1品増やし、間食を食物繊維が多いフルーツや木の実などに置き換えることです。

 

一日一本、食物繊維の多く含んだドリンクを飲むというのも手軽ですが、後で述べる理由からなるべく元の形の分かる食品から取ることをすすめています。

 

 

食物繊維の多い食品の特徴と具体例

精製・加工されていない食品を意識して取ろう

食物繊維をしっかり取るために意識するべきなのは、精製・加工されていない食品を積極的に取ることです。

 

具体的な数字を見てみましょう。

最もわかりやすい例でいうと、白米は100gあたり0.5gの食物繊維を含んでいるのに対し、玄米は100gあたり3gの食物繊維を含んでいます。

 

お米はだいたい300gで1合になります。

3食0.5合ずつ、1日に1.5合(450g)のお米を食べるとしましょう。

この場合、

白米だと2.3g

玄米だと13.5g

の食物繊維を摂取することになります。

 

非常に大きい差ですね。

 

白米を玄米に置き換えるだけで、ほぼ今の平均摂取量に達してしまいます。

おかずから摂取する分を考えると、玄米を食べるだけで目標は簡単に達成することができるでしょう。

 

 

では、白米と玄米の差はどこにあるのかというと、それは精製しているかどうかの違いにあります。

 

白米は美味しさをひたすら追求し、玄米から余分な成分を取り除いています。

よくコーラや白米が角砂糖いくつ分、なんて例えることもありますがあれもあながち間違いではないのです。

 

お米以外にも同じ麺類でも、うどんや中華麺など小麦を精製して作った小麦粉からできたものは食物繊維が少ないです。

 

一方でそばはそば粉自体が食物繊維を多く含んでいるので食物繊維が多くなっています。

 

精製・加工して取り除いて食べやすくした結果、身体にとって良い栄養まで取り除いてしまうのも良し悪しがありますね。

 

野菜でも、野菜の形がわかるサラダだったり煮物だったりで食べると変わりませんが、野菜ジュースに含まれる食物繊維はかなり少なくなってしまいます。

 

現代では、より食べやすく、味を良くするために大量の精製・加工した食品が出回っています。

 

気づかないうちに食物繊維を取りにくい環境になってしまっているのです。

毎日食べるものには少しだけ注意をすると、それだけで非常に健康を安く手軽に保ちやすくなりますよ。

 

 

食物繊維の多い食品の具体例

最後に、食物繊維を多く含んでいる食品をいくつかまとめます。

 

コンビニなどだと成分が書いてあるものも増えましたが、外食や自炊もあるので日頃の食事でこれらを意識してみると良いでしょう。

 

特に食物繊維を多く含んでいるもの、身近に手に入りやすいものを中心にまとめてあります。

 

生の食材と茹でて量が増えた状態など、状態によって多少のずれがありますので注意ください。

 

(100gあたりの水溶性・不水溶性を合わせた量を記載しています)

 

【主食】

オートミール:9.4g

ポップコーン:9.3g

ライ麦パン:5.6g

玄米:3g

そば:2.7g

フランスパン:2.7g

 

【野菜・果物】

 

《イモ類》

こんにゃく:3g

しらたき:2.9g

さつまいも:2.3g

 

《豆類》

大豆:17.9g

きなこ:16.9g

あずき:11.8g

おから:11.5g

そらまめ:9.3g

えんどう・グリーンピース:7.7g

こしあん:6.8g

納豆:6.7g

つぶあん:5.7g

 

《種・実》

ごま:12.5g

アーモンド:11g

ピスタチオ:9.2g

くるみ:7.5g

らっかせい:7.2g

ピーナッツバター:6.9g

ひまわりの種:6.9g

くり:6.6g

 

《野菜》

かんぴょう:30.1g

切り干し大根:21.3g

ごぼう:5.7g

ザーサイ:4.6g

えだまめ:4.6g

ブロッコリー:4.4g

ししとう:3.6g

オクラ:3.6g

かぼちゃ:3.5g

春菊:3.2g

とうもろこし:3g

みずな:3g

カリフラワー2.9g

にんじん:2.8g

ほうれん草:2.8g

にら:2.7g

キムチ:2.7g

そらまめ:2.6g

ねぎ:2.5g

 

《果実》

乾燥プルーン:7.2g

干しぶどう:4.1g

ブルーベリー:3.3g

キウイフルーツ:2.5g

りんご:1.4g

バナナ:1.1g

 

《きのこ》

きくらげ:57.4g

干し椎茸:41g

生しいたけ:4.2g

えのき:3.9g

ぶなしめじ:3.7g

まいたけ:3.5g

エリンギ:3.4g

なめこ:3.3g

マッシュルーム:2g

 

《海藻》

ひじき:51.8g

焼海苔:36g

味付け海苔:25.2g

わかめ:32.7g

こんぶ:27.1g

寒天:1.5g

もずく:1.4g

 

【魚介・肉・卵・乳製品】

なし

 

 

全体的に確かに食べごたえがある食品が多めなのがよく分かるかと思います。

 

また、乾燥させた食材は食物繊維の量が多めに出ていますが水で戻すことを考えるとそれほど多くは食べられないかと思います。

 

普段不足しがちですが、豆・きのこ・種や実・海藻などは全体的にどれも多くの食物繊維を含んでいておすすめです。

 

間食であればあずきが多く食物繊維を含んでいるので、甘いものが食べたい場合は生クリームを使った洋菓子ではなくあんこを使った和菓子を食べると良いですよ。

 

まとめ

食物繊維の役割

  • 善玉菌を増やして腸内環境を整え消化、吸収を助ける
  • 血糖値の急激な上昇を抑え、食事の腹持ちを良くする
  • よく噛む必要があるので食欲を抑えるレプチンが分泌されやすくなる

 

一日に必要な食物繊維の量

  • 男性は20g、女性は18g、できれば24g以上取りたい
  • 通常の食事ではとりすぎは通常気にしなくて良い
  • 食事の中に1品+間食を食物繊維の多いものに置き換えるのがおすすめ

 

食物繊維の多い食品とは

  • 精製、加工されていない食品に多い
  • 野菜のほかに、豆、きのこ、実や種、海藻などに多く含まれている
  • 主食を白米から玄米に置き換えるのは非常におすすめ
  • 甘いものが食べたいときは洋菓子より和菓子を食べると良い

 

 

食物繊維の効果はダイエットにはピッタリですね。

 

現代の食生活だと不足しがちなので、具体例を見て意識して摂取することを心がけるとちょっとだけ痩せやすくなるはずです。

 

身体に良い食品ばかりなので、ダイエット以外にも体調が良くなるおまけがついてくるかもしれませんよ。

 

 

他にもダイエットに役立つ身近な食品をまとめています。

 

 

参考にした資料:

 

全般的な情報は厚生労働省のサイトを参考にしました。

食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

摂取基準は日本食物繊維学会誌を参考にしました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdf2004/8/2/8_2_71/_pdf

 

食品の食物繊維の成分量に関しては文部科学省の情報を参考にしました。

第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版):文部科学省