凡才ですから

凡才だから努力して一日ひとつだけ強くなる。

過小評価されているあのグルメ漫画の凄さを解説する

f:id:taiheiex:20170501191010j:plain

どうも、タイヘイです。

 

『孤独のグルメ』のヒット以来、ここ数年食べ物を題材にしたグルメ漫画が随分と増えました。

 

今日はそんなグルメ漫画の中でも過小評価されているあの作品について解説したいと思います。

 

『食戟のソーマ』『忘却のサチコ』『銀平飯科帳』など、現役で連載中の作品は数多くあります。

 

しかし今回紹介するのは……。

 

『クッキングパパ』です!

 

数少ない100巻超えの長寿漫画の一つ

数多くの漫画が世に出ていますが、100巻を超える作品はそうそうありません。

 

『ジョジョの奇妙な冒険』などタイトルや主人公などシリーズが変わるものを含めても20作品ほど、仕切り直しせずに同一タイトルで続いている作品はわずかに12作品です。

 

さらにそのうち5作品が完結済みで、連載を続けている作品でも休載が目立ったりということもあります。

 

『クッキングパパ』のスゴイ所の1つは長寿漫画ということに加えて圧倒的な掲載率。

 

1985年の掲載開始から2017年5月末までに1415話を掲載していますが、話数と掲載年数を計算してみると実に年4回ほどしか休載していないことになります。

 

作者のうえやまとち先生の体調不良ももちろんあるでしょうが、この休載はおそらく時々エピソードに出てくる海外旅行編や各地の店や食べ物の取材休みがほとんどだと思われます。

 

作者取材につき休載~という文言は良く見ますが、『クッキングパパ』は海外の食事や国内でもお祭りや釣りなどを取り上げることが多く、本当に取材しているのが作品にダイレクトに反映されていてよく分かるのです。

 

また100巻を超える作品の作者はご高齢な方が多いのですが、うえやまとち先生も今年63歳です。

巻数がトップの『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は完結済み、次いで巻数が多い『ゴルゴ13』は連載中ですがさいとう・たかを先生が80歳とご高齢なので、もしかしたら『クッキングパパ』が日本で一番長い巻数の漫画になる日がくるかもしれません。

 

登場人物は年をとる珍しい日常系・読んでいてホッとできる安心の内容

こち亀など日常系漫画に多いのが、登場人物が年を取らない設定です。

クレヨンしんちゃんやドラえもんなどアニメでもよくある設定ですが、実はクッキングパパは作中で少しずつ年月が経過しています。

 

わかりやすいところで言うと、主人公である一味の息子のまことは物語当初では小学2年生だったのが最新刊では大学を卒業し、就職しています。

 

32年ほど掲載しているので、だいたい現実の2年で物語中の1年が経過するくらいの計算です。

驚くべきことに、クッキングパパのように長期間時間が一気に飛ばない作品はおそらく他には存在していません。

 

クッキングパパはこの時間経過を上手く話に組み込んでいるところが素晴らしく、普通の作品では物語の一つのキリになる結婚・妊娠・出産・入学や卒業を何度も話で取り上げています。

 

バレンタインやクリスマスなど季節ネタももちろんあるのですが、子供の成長が時間経過をすごく分かりやすく表現しているのが面白い。

 

気になるお話のネタや傾向は、『食戟のソーマ』や『美味しんぼ』と違って競い合うということがなく普通の生活を描いているので悪人も出てこなくて安心して読んでいられます。

 

年月の経過にともない、作品内ではお年寄りのキャラクターが寿命で亡くなることもあるのですが、それもものすごく落ち込むような話ではなく、しんみりとしながらも生活の一部であるように描かれており他の作品にはない持ち味の一つです。

 

レシピとしての有用性と時代の空気感を伝える歴史的価値

クッキングパパの素晴らしいとろこはなんといっても毎回紹介される料理のレシピ。

 

グルメ漫画だと極端な美味しい!というリアクションがある作品だとレシピが公開されていないことも多いですが、クッキングパパは全ての料理が作者やアシスタントによって調理され、味を確かめられています。

 

海外に旅行に行った際に学んだ料理などは、日本で手に入りやすい食材に置き換えられているのも嬉しいサービスです。

 

また料理そのものの幅も非常に広く、手のかからない日常のレシピ、特別な日のごちそう、郷土料理、日本では珍しい外国の料理、保存食や調味料などほとんど食べ物全てをカバーしています。

 

お酒やお菓子などもしばしば取り上げられ、1000話を超えていることからレシピの数も膨大なもの。

漫画本編以外にも、レシピ集を集めた本も数多く出ていますがネタ本ではなく非常に実用的なものになっています。

 

 

そしてクッキングパパの価値は物語とレシピだけにはとどまりません。

 

 

先に説明したとおり、作中ではゆっくりと時間が過ぎていることもあって時代の移り変わりが意図せず分かる歴史的資料としての価値があるのです。

 

物語開始当初は、バブル期で定時に帰る主人公一味は自分が料理をすることを隠していました。

 

これは当時の世評を反映していて、秘密が明かされたのは51巻とかなり後のことです。

51巻が出版されたのは1998年で、この頃になるとバブルも終わってモーレツ社員も減り、男性の料理もだいぶ一般的になってきたように思われます。

 

それ以外だと、飲酒と喫煙・パチンコに関する描写が時代の変化を強く感じさせます。

 

タバコを吸うキャラクターはかなり減りましたし、未成年の飲酒も以前はグレーゾーンだった感じが今はかなり慎重に描くようになりました。

飲酒運転の罰則強化を受けて車で出かけた時は一人は運転手役で酒を飲まない、あるいは一人で出かけた時は運転代行を呼ぶなどの配慮が巻数が下るにつれて増えていきます。

 

またパチンコは教育的な配慮はもちろん最近の業界的な不況もあってか、コメディリリーフの田中や主人公の母カツ代がかつてはかなりの頻度で通っていましたが、現在では田中がたまに行っているという言及があるくらいで直接描かれることは皆無になりました。

 

他にも女好きなイタリア人ティートのセクハラ的な描写はなくなりましたし、いろいろなところで時代の空気の移り変わりを感じることができるのです。

 

時代を反映した長寿作品はおそらくクレヨンしんちゃんとクッキングパパの2つくらいです。

 

ちびまる子ちゃんやサザエさんは時代が昭和のままですし、ドラえもんは子供の世界しかほとんど描かないので家庭用のゲームがたまに出るくらいしか時代の変化がありません。

 

おそらく、クッキングパパを題材に卒論を書いたりちょっとした文化の研究ができるくらいの資料価値はあると言っても過言ではないでしょう。

 

ちょっと前に流行った「おにぎらず」などは実はクッキングパパが初出だったり、日本で話題になる前にクッキングパパが既に取り上げていたという食べ物がかなりあったりするのも非常に面白いですね。

 

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

長い巻数の作品はなかなか手を出しにくいですが、基本的に1話完結のクッキングパパはモーニングに載っているその週のものだけ読んでも大丈夫。

 

キャラクターの関係などは把握していなくても安心して読める内容ですし、レシピも役に立ちます。

 

もし時間があったら、子どもたちの成長やどのキャラがいつ出てきたかなども分かるので漫画喫茶でまとめて読むのもよいかもしれませんね。

 

料理やグルメ漫画の中では短い巻数なら『孤独のグルメ』、長い巻数なら『クッキングパパ』が間違いなくイチオシの作品です。

 

ありがとうございました!

 

 

巻数が多いのでKindle版も場所を取らずにオススメ。初期のクッキングパパは実は部下にモテたりするのが面白いですね。

 

プライム会員になると150話以上あるアニメが全部見れてお得。漫画で読むのが面倒な人にはピッタリです。

 

レシピも作者が味を確認しているので安心。1冊手元にあるとすごく役立ちますよ。